10月29日いの町すこやかセンターで行われました。
私は大学は農学部森林専修を出ています。15年以上前になりますが大学の講義や実習を通し得たことは、日本の林業の衰退や斜陽産業になり下がっている現状、それを打破するには皆伐を進める大規模集約型林業しかないのだという通り一辺倒な考えが席巻していました。その当時、私はそんなことはないと思いながらも、そうじゃない林業とはこうするのだという行動力と考えがなく、なんだかんだ回り道をした人生でした。しかし、現在は高知県で土佐の森方式の林業を知り、これは進歩、発展させたら自分の思い描くプロとして林業で生計が立てる可能性があると考えています。
今年の5月より自伐型林業チームとして活動しています。10月現在4名来月から5名になる予定です。目標は自らが山を整備し、自らが収入を得る自立型経営の林業です。1年目にあたる現在は3つを中心に活動しています。一つ目は、作業するための資格(チェーンソー、刈払い機、バックホー、架線等)の習得です。二つ目は30ha程の町有林での伐倒、搬出、作業道作りの技術習得です。三つ目は町民対象のチェーンソー、伐倒搬出、作業道作りの講習会の手伝いです。一日の林内作業は安全朝礼、本日の作業内容の確認と体操から始めます。安全第一で無事故を当然目指しています。
チェーンソーの伐倒の技術、土佐の森方式の軽架線と林内作業者を使った搬出の技術、作業道作りの技術は必要な道具が整備された状態で必要なときに使えるかが大事です。
チェーンソーを使った伐倒作業では様々な指導して頂いている方達から教えていただいた伐倒方法から安全で素早く正確な伐倒方法を日々トレーニングし、また、バックホーやプラロック、ロープを使い倒したい方向に倒す伐倒方法も習得しました。
軽架線を使った搬出では、土佐の森救援隊の皆さんからOJTで、軽架線の張り方、材を移動するときの合図の仕方、材のワイヤーの掛け方、林内作業車の操作の仕方をご指導いただき、林内作業車を入手次第、町有林で間伐作業を開始する予定です。
作業道作りでは徳島県の橋本林業の橋本さんの指導を仰ぎ、町有林で作業道を作り始めています。転圧の仕方、法面の作り方、木組みによる土留工の仕方、支障木の伐倒の仕方を日々トレーニングしています。
自伐林業でもなく、請負型林業でなく、自伐型林業とは何だろうかと、佐川町役場のスタッフの皆さんと自伐型林業チームのメンバー、佐川町住民の皆さんと共に考え、行動する毎日です。現在は自伐型林業とは一言で『地域の人たちが地域の森林を地域で持続可能な形で循環させる林業』と捉えています。
そういった自伐型林業を実践できるプロになれるよう日々努力しています。
以上です。ありがとうございました。
B 本日出席された皆様の抱えておられる課題・問題(口頭で全ては言わないかもしれません)
自伐型林業でプロとして働いていくことを考え、自分自身に日々問いかけている発問が6つあります。
①大量生産より、品質を重視し、自分の手から離れる時にどれだけ付加価値をつけられるか。
②その付加価値を付加価値と捉えてくれる消費者や中間業者をどれだけ見つけられるか。
③林業の現場技術や経営感覚を持ち、山主さんとどれだけ信頼関係を築けるか。
④次の世代その次の世代にどんな森林を残していきたいかビジョンとその物差しがあるか。
⑤世界各地どこへ行ってもその地域で林業されている人たちに伝える価値のある林業か。
⑥山林の集約の諸問題をクリアーするその集約システムの構築が出来るか。
地域おこし協力隊の役割はこれらのチャレンジを乗り越えるための起爆剤だと捉えています。
①大量生産より、品質を重視・自分の手から離れる時にどれだけ付加価値をつけられるか。
基本的には自分で山を持たない自伐型林業は林業界の中ではニッチな立場にあると考えています。その経営手法は、農業でいえば、巨大資本を投入しての大量生産薄利多売でなく、出来るだけ投資を少なくし有機無農薬野菜や多品目生産を行うような経営手法になると捉えています。林業でいえば、木材を1年熟成したり、お客様に必要な大きさや形に加工することだと考えています。
②その付加価値を付加価値と捉えてくれる消費者や中間業者をどれだけ見つけられるか。
農業でいうとJAや市場を通さず、無農薬野菜を付加価値と考えてくれる消費者や飲食店等に直接届ける様なことが自伐型林業では大切だと考えています。その前に付加価値を付加価値と捉えてくれる販売先を開拓する営業力が必要になります。
③林業の現場技術や経営感覚を持ち、山主さんとどれだけ信頼関係を築けるか。
林業の素人集団で始まっている佐川町自伐型林業チームですが、山主さんとの信頼関係を持ち林業をさせてもらう土地を集約確保する際に必要なのは、林業の現場技術や経営感覚を持ちプロとして働く姿勢だと考えています。
④次の世代その次の世代にどんな森林を残していきたいかビジョンとその物差しがあるか。
スギやヒノキが生える山林が大部分を占める山の現状はあるいみ異常だと考えます。地域に根ざし地域で林業する自伐型林業であれば、地域の地形などにより例えば、湧き水をいつまでも残していこうと復活させようと考え、谷沿い谷回り25mはその土地本来の潜在自然植生で植林樹種を選定していこうという考え行動もすることが出来ます。その際に大切なのは地域に残っているお寺や神社などにある鎮守の森からドングリ等を拾い苗木を育てることです。
⑤世界各地どこへ行ってもその地域で林業されている人たちに伝える価値のある林業か。
わたしは青年海外協力隊として2年半経験してい以降、マレーシアのボルネオ島でマングローブ林の再生や苗木作りに携わっています。林業と共に国際協力は自分の大事な人生の柱です。個人的には熱帯雨林で持続可能性豊かな自伐型林業を確立することも夢の一つです。高知県でもJICA四国を通し『森林の路網整備に関する技術交流事業』として2011年度~2014年度まで中国に作業道整備の技術支援を行っていると思います。自伐型林業は国際協力で支援する際に自分自身がゼロから林業の技術向上できたように、地域の人たちの技術向上やマインドアップが草の根で出来る技術だと思っております。
⑥山林の集約の諸問題をクリアーするその集約システムの構築が出来るか。
林地の集約はこれがもし出来なければ、地域おこし協力隊を経て、林業を末永くすることは出来ないと考えています。佐川町役場スタッフを中心に山林集約システムの構築と題して、動き始めていただいています。来年4月に自伐型林業チームの第2陣が来るまでに、100ha程度の土地の集約の元となる10ha位の土地の確保が理想です。
C 県に期待する支援
山林の集約化で顕在化してくる所有者不明問題の処方箋として、所有権と利用権の分離を前提とした寄付制度の制定を自治体が中心となって行うリージョナルトラストという考えがあります。若しくは林地集積バンクのような中間組織を県で運用してもらうのも一つのやり方でしょうか。私個人は、森林所有者で手放してもいいと考えている人との信頼関係構築からも山林の集約化は実現し、その際に今挙げたような自治体の大きなバックアップがあるとスムーズに取引が出来ると思います。
また、新規農業就労者に対してあるような新規就農補助金の林業バージョンを検討して頂けないでしょうか。例えば(仮称)新規就林補助金のような物です。内容は自伐型で新規に林業を始めるときに最低必要な3tバックホー、林内作業車、2tダンプかトラックに対し支援していただく物です。